構造物は、いつかはその役目を果たし取り壊されます。
当時は必要なものであっても、様々な開発によりその役目を果たした構造物が数多くあります。
草津市には草津川という過去に天井川がありました。
長い年月をかけて上流の山々の砂を多く運び、そのため河床は住宅の天井を遙かに超え、増水の度に付近は浸水の危険にさらされていました。
草津川隧道は日本の大動脈でもある国道一号線の隧道として河床の下を通る珍しい隧道として昭和11年に上り車線、昭和41年に下り車線が完成しました。
しかし、その後の交通量の増大や、旧来の隧道のため車線幅が狭く高さも規制され、暗がりであったので慢性的な渋滞が起きていました。
上部を流れる草津川は河川改修により2002年に廃川となり旧河川を利用したまちづくりが行われています。
昭和34年 草津川隧道
私たちは、歴史的な遺産である草津川隧道の撤去工事に名乗りを上げ工事を受注し、地域と共に工事を進めています。
草津川跡地整備プロジェクトという民間プロジェクトさん等に隧道の撤去工事にあたり、銘板などの歴史遺産を残すためにご協力いただいております。
広報くさつ 2017年2月1日号
京都新聞 2017年1月12日
工事は、交通の大動脈に係わる工事のため、交通渋滞を巻き起こすことのないよう細心の注意を払い、近隣住民に出来るだけ迷惑をかけないように特殊な機械を使い解体・撤去を行います。
住民の方にも安心して工事を見守ってもらえるよう、また、特殊な工事のため建設系の大学生の研究に役に立つ工事見学会も随時行っております。
解体工事にはワイヤーソーというチェーン型のノコギリでコンクリートをブロック状に切断することにより、現場での振動を極力減らしています。
1.平成27年6月30日撮影(着工前)
2.平成27年11月2日撮影
3.平成27年12月29日撮影
4.平成28年1月30日撮影
5.平成28年3月31日撮影
6.平成28年10月31日撮影
7.平成28年11月30日撮影
8.平成29年4月28日撮影
切断後のコンクリートブロックは、通常なら現場にて破砕処理するところを、ブロックごと信楽にある弊社リサイクル施設まで運搬し、破砕処理しています。
80年前から固まっているコンクリートはガラと鉄筋を分別し、再生骨材や、再生路盤材、再生鉄の材料などとして100%蘇えらせ、資源の循環活用を行っております。
長い歴史のあるものだから、きちんと次の役割を与え再利用することにより、サスティナブルな社会活動であると理解しています。